小さくて高性能なゲーミングPCを作ってみた – 第1回:パーツ選び編

2017年8月5日

こんにちは!
さくらパソコンサービスです!

ゲーミングPCを含めオリジナルPCの制作時には拡張性や冷却性能などの問題から比較的大き目のケースを使用することが多いのですが、サイズをお伝えしていても「うわっ、思ったより大きいな」というお声を頂戴することがあります。

小さくするには小型ケース使えばいいのですが、通常のケースに比べ上述の拡張性や冷却性能が劣る上、パーツ選びが繊細なことや組み付けに手間がかかる等の理由もあり避けている部分もあります。

そこで今回は持てる技術と知識を全力投球してとにかく小さなハイエンドゲーミングPCを作り、部品選びから組立方法、性能を数回に分けてご紹介したいと思います。

※本記事は専門用語を使用しています。悪しからずご了承くださいませ。

小さくても高性能なゲーミングPCを目指す

『小さな』と言うぐらいですからとにかく小型のケースを選べば良いのですが、「小さくしたので性能は劣ります」では普通すぎますので、ハイエンドゲーミングPCを作りたいと思います。

当然、「高性能なグラフィックカードを」ということになりますが、ハイエンドグラフィックカードの長さは300mm前後ありますのでケースの奥行は最低でも300mm前後必要となります。

今回はそれらの条件を踏まえたパーツ選びや、自作PCを作る際のパーツ選びのポイントをご紹介します。

ケースはSugoシリーズ SST-SG13を選択

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奥行300mm前後のケースで幅、高さは可能な限り小さく、冷却性能も良さそうなケースということで、今回はSILVERSTONE社製のSugoシリーズ SST-SG13を選びました。

長さ266mmまでのグラフィックカードに対応していることからハイエンドグラフィックカードも載せることができます。また、初代販売から約8年が経過している歴史のあるシリーズなので、ケースも可能な限りの改良が繰り返されているのではないかと思います。

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縦181mm×横222mm×奥行285mmと非常にコンパクトです。また、この手のケースではよくあるケース背面の電源ユニットのでっぱりがありません。ケースの左右、上部にメッシュ状の開口があり冷却も問題無さそうです。

調べてみると266mm以内のGTX1080Tiも存在しているようなので、チャレンジ精神が旺盛な方は頂点を目指してみるのもいいかもしれません。

マザーボードはMini ITX一択

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マザーボードは様々なサイズが存在しますが、小型PCとなると性能や拡張性の問題からMini ITX規格一択となります。

弊社の実績で最もトラブルが少ないことからASUS、小型ケースですのでCPUのオーバークロックをおこなう予定がない、もしかするとRAID化するかも、ということで少々お高いのですがH270チップセットのASUS ROG STRIX H270I GAMINGを選択しました。

ちなみに「H270」といったチップセットの違いですが、最近のチップセットをわかりやすく説明すると以下のようになります。

  オーバー
クロック
RAID
対応
複数
グラボ搭載
Z270
H270 × ×
B250 × × ×
Z170
H170 × ×
B150 × × ×

他にも細かな違いはありますが、オーバークロックするかどうか、RAIDを組むかどうか、グラフィックカードを複数搭載するかどうかの3点に絞って選ぶのが良いと思います。尚、M.2のSSDを利用する予定の方はM.2のソケット数やSATAとのレーン共有に注意する必要があります。

ゲームにハイスペックなCPUは不要

スペック上の見栄えを重視するならCore i7

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一般的にはゲーミングPCとなるとハイエンドCPUが搭載されていることが多いですが、これらはスペック上の見栄えを重視する為に搭載しています。ゲームはグラフィックカードに依存するのでGTX1080Ti搭載のゲーミングPCでもCore i5で十分な場合のほうが多いです。但しオープンしたてなどの理由で作りが悪いゲームをする時や多重起動する際はCPU負荷が高くなることがあるので注意が必要です。

今回は後々画像・動画処理にも使用する可能性があるのでCore i7を選択しましたが、本来であればCore i5を選択しました。尚、小型ケースなのでオーバークロックでパーツに余計な負担をかけるつもりもない為、オーバークロックできない末尾『K』無しのIntel Core i7 6700を選択しました。

ちなみにAMD Ryzenも検討しましたが、マルチコアに対応したゲームが少ないことから最終的にIntel Coreシリーズにしました。今のところRyzenはアンチIntel派、ベンチマークマニア向けの商品となっていますが、ゲーミングPCメーカーの中には「Intel Coreシリーズと同等だが安価」といった文言で販売しているので注意が必要です。

純正クーラーに支障が出そうなので簡易水冷のCPUクーラー

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CPUクーラーですがオーバークロックしたい、性能に違いは出ないが1℃でもCPU温度を下げたい、ごついのが好き、光らせたいという方以外はIntel製CPUに付属の純正クーラーで十分です。あまり知られていませんが純正クーラーは意外と冷えますし、非純正クーラーは場合によっては純正クーラーの性能を下回るものもあり注意が必要です。また、非純正クーラーは熱伝導グリスを手作業で塗る必要があり、グリス不足や汚損などでCPUやマザーボードを壊してしまう可能性がありますので注意が必要です。

今回は小型ケースの為、CPUの上に電源ユニットが張り出し、純正クーラーでは冷却に支障がでる可能性がある為、簡易水冷キットのSILVERSTONE SST-TD03-LITEを選択しました。

メモリにこだわりは不要

メモリはCPUのスペックやパソコンの用途によって容量を決定します。弊社では特殊な用途向けのパソコンではない限りIntel Coreシリーズのでは以下のように容量を決めます。

Core i7 16GB~
Core i5 8GB~16GB
Core i3 4GB~8GB

今回はCore i7を使用するので16GB以上で検討しますが、16GBと32GBの性能差が数値上の2倍には程遠いこと、非マルチモニタ環境でのゲーミング、画像・動画処理用途になる予定なので、コストを意識して8GB2枚組、計16GBのCFD W4U2400PS-8Gを選択しました。

尚、メモリブランドの選び方ですが弊社では以下の点を重視して選定しています。

・規格
・ノンブランド、マイナーメーカーではない
・価格

ひと昔前であれば他パーツとの相性による不具合もありましたが現在はそういったことも滅多になくなり、販売店も無償で相性保証している場合が多いので相性問題を気にする必要はありません。

また、高いメモリに手を出すくらいならその予算で容量を増やしたほうがコストパフォーマンスが上がります。

勘違いの多いSSD

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自作PCを作る方の多くが勘違いしているのがSSDのスペックです。SSDと言えば様々な規格の商品が販売されておりますが、選定によっては本来のスペックを出せなかったり、信頼性の低下を招く場合がありますので下記を参考に注意しながら選んでください。

SLC、MLC、TLCの違い

一般向けSSDにはMLC、TLCが販売されていますが『SLC > MLC > TLC』の順で信頼性が低下します。価格も同じく『SLC > MLC > TLC』の順で安くなります。故障率を下げたいのであればMLCを選択してください。

3D NANDについて

3D NANDについては非常に多くの方が勘違いをしており、3D NANDが良いと説明しているパーツ販売店も見かけます。3D NANDとはメモリチップを何層も重ねて面積当たりのメモリ容量を増やす為の技術となります。つまりメーカーがSSDのコストダウンを図るために開発された技術であり、性能や信頼性を向上させる為のものではありません。

また、3D NANDはチップを積層する為、熱がこもりやすく信頼性が低下しますので非3D NANDのSSDがオススメです。

トップメーカー以外のSSDは突然死に注意

SSDにはTBWなど比較的明確な寿命が示されていますが、多くのメーカーで記載された寿命を実際の寿命が下回っています。また、徐々に壊れることの多いHDDと違いSSDは突然故障することが多く、故障の前兆などを感じることがありません。

SSDはメーカーが乱立しており、品質のバラつきが大きいのでできる限りメジャーブランドのSSDを選ぶようにしましょう。

信頼性は必要ないのでTLCを選択

以下の理由からIntel 600pシリーズを選択しました。

・NASを使用しているのでSSDはいつ壊れても良い
・マザーボードがM.2に対応している
・メイン機で750シリーズを使用しているので廉価版NVMeを試してみたい

SSDにはOSとゲーム等のアプリしか入りませんので容量は256GBにしました。

ゲーミングPCはグラフィックカードに全力投球

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ゲーミングPCでは下記の事項に注意しながら余った予算をグラフィックカードにつぎ込みましょう。

ゲーム公式サイトのスペックでは動かない

グラフィックカードはゲームに必要なスペックを満たす必要がありますが、公式サイト等には最低限のスペックの記載があるだけで『楽しめる』スペックの記載はありません。公式サイトのスペックでは画質などを全て最低品質に落とさなければゲームがまともに動かないので注意しましょう。

多くの場合、公式サイト記載のスペックから大幅に上回るグラフィックカードが必要となります。実際に必要なスペックはYouTubeなどのゲーム実況動画などでスペックを記載している方の動画を参考にするのが良いです。

他パーツやケーブルとの干渉に注意

グラフィックカードは幅と高さに規格がありますが、長さには規格が無くバラつきがあります。高さは規格があるものの規格上限いっぱいで作られていますので、ファンの位置によっては隣り合う他のカードのせいで冷却がうまくいかない場合があります。

また、補助電源が必要なグラフィックカードの場合はコネクタの位置を確認し、ケーブルが他のパーツと干渉なくつなぎ込めるか注意しましょう。

自作初心者の方でハイエンドグラフィックカードを検討している場合、干渉が多発する小型ケースは避けたほうが無難です。

グラフィックカードは値崩れが激しい

GTX1080Tiは本日現在10万円前後で販売されていますが、過去の推移などから3年程度で半額まで下がると思われます。その為、お金が有り余ってる方以外は最高峰を狙うのではなく、ワンランク下のグラフィックカードにするか、1世代前のものにしましょう。ほとんどのゲームはそれで十分楽しむことができます。

コスパとサイズからGTX1060を選択

今回は小型のPCケースを使用するので、まずは載せることのできるサイズであることが重要です。

使用するPCケースSST-SG13とハイエンドグラフィックカードの組み合わせについて情報が無かった為、サイズを満たしておりハイエンドグラフィックカードの中でも比較的リーズナブルなNVIDIA GeForce 1060チップを積んだASUS STRIX-GTX1060-DC2O6Gを選びました。

小型ゲーミングPCでは電源ユニットの選定が最も重要

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電源ユニットは各PCパーツの中で最も容積が大きいので、今回のような小型ケースを使用する際は他のパーツやケーブルとの干渉を十分注意する必要があります。

また、その他にも次の点に注意しながら選定しましょう。

電源容量にまどわされないで

電源ユニットと言えば〇〇Wといった電源容量を気にしがちですが、CPUやグラフィックカードの省電力化やSSDの普及によって容量は重要ではなくなりました。

ゲーミングPCでは1,000Wの電源ユニットを搭載したものもありますが、GTX1080Tiなどのハイエンドグラフィックカードを搭載していたとしても全体の消費電力はピーク時でも350W程度ですので無駄です。これもCPUと同じでスペック上の見栄えを気にするゲーミングPCメーカーの策略とも言えます。但し、SLIなどグラフィックカードを複数搭載する場合やHDDでのRAIDなどは大幅に消費電力が増えるので注意してください。

80PLUS認証とは?

高価格帯の電源ユニットによく表示されている80PLUS認証は『効率』が良い程ランクが上がります。

「効率は悪くても電気代払うからいいや」と思われた方は少しお待ちください。『効率が良い=良い部品を使っている』ので一般的には80PLUS認証のランクが上がれば上がる程、電源ユニットの故障率が下がり信頼性が上がります。同じ電源容量でも80PLUS認証の有無やランクで倍ほどの価格差がでますが、認証の有無やランクは気にしない方が多いことから、ゲーミングPCメーカーはランクの低い電源ユニットを使うので注意が必要です。弊社へのパソコン修理サービスへのゲーミングPCの修理依頼の中で電源不良が圧倒的に数を占めます。

ピーク時200WのゲーミングPC

今回のゲーミングPCでは光学ドライブ無し、HDD無しで考えているのでピーク時の消費電力は200W程度になるかと思います。

小型ケースということで不要なケーブルを取り外せるプラグインタイプ、奥行きが125mmと小さい、信頼性が期待できる80 PLUS認証GOLDを取得している玄人志向 KRPW-GT00W/90+を選びました。

小さくて高性能なゲーミングPCのパーツ構成

長くなりましたが今回組み立てる小さくて高性能なゲーミングPCのパーツ構成は最終的に以下のようになりました。

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ケース SILVERSTONE SST-SG13
マザーボード ASUS ROG STRIX H270I GAMING
CPU Intel Core i7 6700
CPUクーラー SILVERSTONE SST-TD03-LITE
メモリ CFD W4U2400PS-8G(8GB×2)
SSD Intel 600pシリーズ(256GB/M.2/PCIe3.0×4/TLC)
グラフィックカード ASUS STRIX-GTX1060-DC2O6G
電源 玄人志向 KRPW-GT00W/90+(80PLUS認証Gold)

M.2のRAID化無し、動画編集無しが前提になりますが予算を少しでも切り詰め、たいということであれば下記のパーツを変更することで約21,000円のコストダウンが図れます。

・CPUをCore i7 6700→Core i5 6500:約-12,000円
・マザーボードをH270→B250:約-4,000円(B150まで下げれば約-6,000円)
・Intel SSD→ADATA SSD:約-2,500円
・80PLUS認証 Gold→80PLUS認証 Bronze:約-2,500円

さくらパソコンサービスでは用途や予算にあわせたオリジナルPCの制作を承っております。今回紹介した小型ゲーミングPC、光るゲーミングPC、簡易水冷ではなく本格的な水冷ゲーミングPCなどなどお客様のご希望をお気軽にご相談くださいませ。

次回の記事では今回選定したパーツを使って実際に組立をおこないます。組立時の注意点や小型ケースならではの問題点を中心に説明したいと思いますので自作PCやゲーミングPCに興味がある方はぜひご覧ください。

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